2012年12月23日、第17回イチロー杯争奪学童軟式野球大会 閉会式より

皆さん、こんにちは!イチローです。

今回は250チームの中で、最後この3チームが残ったということですが、これは、みんなすごいことなので、今の自分の全誇りとして欲しいと思います。

250分の3というのは、すごい確率だなと。

僕たちは14チームでも1番になれず、今年最後にダメだったんですけども。

この3チームのみんなは、優勝したチームだと僕は思います。

みんな、ここまで勝ってきた選手だからよく分かると思いますが、野球をしていると、バッターボックスで、マウンドで、守備で、みんなが応援してくれるけれども、そこは1人で頑張らなくてはいけないということを、みんな感じていると思います。

誰も助けてくれない、その時に、その場面で受けているプレッシャーっていうのを、そこから逃げようとするのか。

それともそのプレッシャーを受けて、その上で打席に立つのか。

あるいはマウンドに立つのか、守備をするのか。このことは実は、すごく大きな意味を持っています。

そこでもし失敗してしまったとしても、次に進もうという気持ちが芽生えると僕は思います。

僕はそうやって、これまで長い間、プロ野球の世界でやってきましたが、そこで逃げてしまって出した結果と、向かっていって出た結果、これは同じ成功であっても失敗であっても、その後に大きな違いが生まれるものと僕は考えています。

困難なこと、難しいことに、自分から立ち向かっていく。

こういう姿勢があれば野球はもちろんうまくなるし、人間として強くなっていくんではないかと思います。

僕は今年、シアトルマリナーズから、ニューヨークヤンキースに移籍しました。

この決断というのは、僕にとってはすごく大きなものだったし、難しいものでした。

今まで生きてきた中で、大きな決断というのはいくつかありましたが、常にそこは自分で決めてきたことでした。

もし僕が人に誇れることがあるとすると、難しい局面で常に、最終的には自分で決断をしてきたことのような気がします。

みんなは、まだなかなか自分の力だけで決断するということは難しいと思うけれども、将来必ず大きな決断をしなくてはいけない時期がくると思います。

そのときに、難しいことに立ち向かっていった自分が決断すること、これができる大人にぜひなって欲しいなと思います。

野球を通していろんなことが学べます。

その技術だけではなくて、生きてく上で大切なもの、学ぶことはたくさんあります。

でも、それは全て自分次第であるということを覚えておいてください。

これは、みんなにというよりも、お父さんお母さんに覚えておいていただけると嬉しいです。

みんなが将来、自分を誇れるような大人になることを期待して僕の挨拶とさせていただきます。