2017年12月23日、第22回イチロー杯争奪学童軟式野球大会 閉会式より

この202チームから残った3チーム、これは僕にとってはみんな優勝です。本当におめでとう。

僕はさっき会場に着くのが遅れたけれど、それは、小学校の時練習していたグランドがここから5分の所にあって、ここで毎日練習したことを思い返していたんです。

今年44歳になったんだけれど、その時の仲間も今は1人だけしかお付き合いがない、現在ではそんな状態です。

みんなは202チームからこんな厳しい大会を勝ち抜いてすごい仲間と今一緒にいます。何十年後にこのつながりがなるべく多くあるように大切にしてほしいと思います。

僕は日本で9年、アメリカで17年野球選手としてやってきましたが、皆に言いたいことは山ほどあります。

でも、みんなに会えるのは最初で最後かもしれない。

その時に何を伝えたらいいか毎年考えるけれども、みんなから今日は何か質問があったら……(さっと手が挙がり)早いな。

そんなに早く出てきますか?じゃあ優勝チームから。

イチロー選手はメジャーで大切にしている言葉やプレーは何ですか。

難しいのきたね。そんなこと聞く。

大切にしている言葉、これ難しいこと聞くな…。

プロ野球選手になると、楽しいことよりもしんどい事が多いね。

瞬間・瞬間に気持ちいい事や楽しい事があるけれど、ほとんどは悔しい事であんまり楽しくない事が多い。

特にうまくいってないチームにいると、皆を集めてよくミーティングをしますが、その時にアメリカで必ず言われる事は、「自分に自信を持って、互いにチームメイトを信頼して、やるべきことをやれ。」ということ。

けれども、この三つをできている人はほとんどいません。

自分に自信を持つためには、それなりの事をやらなくてはならない。

自分なりに頑張ってこないと、自分に自信が持てない。頑張っているチームメイトを見ないと、チームメイトを信頼できない。

例えば毎日同じことをやる事が大切だけれども、いつも手を抜いて気分で色々変わっていく人が多い。(そんなチームメイトを)信頼してプレーできるか、難しいね。

三つ目のやるべき事をやる。

これはみんなも耳にした事があると思うけど、やるべき事をわかっている人はほとんどいません。

後に、あれがやるべき事だったんだとわかる事が多いんだけれども、今からやろうとしていることがやるべき事であるかどうかの判断は難しい。

だけど、優秀な成績を残したみんなだから言いますが、自分に自信が持てる自分でいてほしいし、チームメイトから信頼される自分であってほしいし、やるべきことが自分で見つけられるような、そんな選手であり人であってほしいなと、今、聞かれて思いました。

これは今まで長い間野球をやってきて感じていることだし、大事にしていることと言える。難しかったかな。

お父さんお母さんがしっかり見てくれているので、後で聞いてください。

日本野球界に復帰することはありますか。

メディアいますか?

えーとですね、ややこしい事聞くな。

それ大人の知恵は入っていないか?

えー…、言葉というのは非常に難しいし便利ですが、可能性という言葉を使うならいろんな取り方があるね。

これは自分の逃げの言葉です。

可能性っていろんなことに使えるからゼロではない限り可能性は使えるんだけれども、ややこしいな…、どうかな。

もちろん今も野球選手で、来年も野球選手でいたい。

ただ、これは質問とは違う答えになるけれども、アメリカでは特に、44歳っていうのは何かしらひっかかるらしいんだね。

アメリカって仕事の面接とかしても年齢を聞いちゃいけないんだけれども、年齢を聞くと、何となく44歳のおじさんはどうなのかなという感じになって。

これは3年前も感じていたことなんだけれども「ペットショップで売れ残った大きな犬」そんな感じ。

何とか自分で元気だと見せる機会もなく難しいけれど、44歳もこれからも頑張ろうと思っています。

イチロー選手に質問です。イチロー選手みたいなバットコントロールを身に着けるにはどうすればいいですか。練習方法を教えてください。

欲しいのはそういうの(質問)です。バットコントロールか。

難しい話になるんだけれど、皆くらいの年齢ってすごく大事なんだと思うんだよね。

大人になってから身に着けられない事って確実にあると思うんだけれど。

僕が持っている技術は、みんなと同じくらいの12歳・小学6年までに磨き上げたもの、自分で作り上げ得たものは大きかったと思う。

後の3年間、中学3年間で固まったものもすごく大きい。

僕は高校で全然練習しなかった。

その時のチームメイトが二人来ているけれど、彼らは僕があまりにも練習しないのに一人で結果を出してしまうので、プロ野球選手をあきらめたと言うのね。

高校のころはすごく怠けてたけど小学校の時は誰よりも練習していた。

バットコントロールを磨くためにどうするかは、みんなは体が大人になっていないから、まだこれからわかってくること一杯あると思います。

僕はプロ野球選手の中では細いし、大きい選手ではないし、当時も細いとそこそこ感じたけれども、どうしたら遠くへ飛ばせるか、どうしたら一番速い球が投げられるかと考えながらやっていた。それって、頭で何も理解してなくて。

僕の父親がアマチュアでしかやってなくて知識がなかった。

それが僕の形を生み出したと言えると思うけれど。

今はいろんな情報が頭に入ってくる、それよりも、みんなの体で感じて、自分が感じていることを大切にしてほしい。

どうやったら、どういう体の使い方をやったら、自分の体でうまくできるか、常に考えてやってほしい。

明確な答えになっていないけれども、そのことがすごく大事だと思う。

最初に言った「自分に自信を持って、仲間から信頼され、やるべきことが分かる」ような大人になってほしいと思います。

それは僕もいまだにできているかはわからないけれども、そのことは常に頭の片隅においてある。

なかなか自分に自信を持つのは難しいけれど、普段の行動を見ていくと、このチームメイト・仲間は信頼できるというものが見えてくると思うから、皆も仲間から信頼されるそんな大人になってほしいと思います。

できれば野球は続けて欲しい。野球は色んな事を教えてくれるから。

チームスポーツだけれども個人スポーツということもあって、本当にいろんな事を奥深く教えてくれるから、できるだけ好きなものを一生懸命やって欲しいと思います。

そんなところですかね。僕からのメッセージは。

202チームから3チーム勝ち上がったことは本当にすごい事だから、今日の結果は大きな自信として、これから中学・高校と進んでいってほしいです。

僕も頑張ります。以上です。